好きな色
ティルト「そういえば、 好きな色ってあるんですか?」
どんな色でも好きになれるさ
色は組み合わせ、見たときの物と背景の取れ合わせ次第で
どれ一つかを選んで好みに叶うかといえばそうでもないからな
夕暮れの強烈な燃えるように滲む朱色
朝曇りの霞んだ灰色
夜闇の薄い雲を衣にかけたほの白い朧げな黄色
大陸棚から陽光の差し込む揺れる水面を見上げたときの蒼色
しかしいずれの系統でも中間色が好みであるらしい
とりわけ、
山猫や豹の転がり落ち込む深淵の色
月影にかざして銀色に浮かび上がる手の色
狼が夜陰に眠る森を疾駆して木の葉の擦れる音が交じる闇の色
気づけば惹かれている妖しい気配
虚空に目をやり、揺れる影をのぞき込むのを望んでいるからだ